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大迫傑が4年9ヵ月ぶりにマラソン日本記録奪還「とんでもなくデカイ1秒」進化する驚異の34歳、自身3度目の日本新
1. 34歳のレジェンド、大迫傑が「たった1秒」を削り取った瞬間
2021年3月に鈴木健吾選手が樹立した日本記録(2時間4分56秒)を、わずか1秒更新するという劇的な偉業が達成されました。
12月7日にスペインで行われたバレンシア・マラソンにおいて、大迫傑選手(リーニン)が2時間4分55秒を叩き出し、マラソン日本新記録を樹立したのです。これは、自身3度目となる日本新記録であり、4年9ヵ月ぶりにマラソン日本記録を奪還したことになります。
34歳で迎えたこの達成は、トラック種目(3000m、5000m)で今なお日本記録を保持し続ける大迫選手が、長きにわたり日本のトップランナーとして君臨し続けていることの証と言えるでしょう。
2. 勝負を分けた緻密な戦略と驚異的な粘り
レース当日の気温は15度前後と、やや高めのコンディションでした。大迫選手は序盤、第2集団の中でレースを進め、5kmを14分48秒で通過しました。
この記録更新を支えたのは、後半のペースアップ戦略です。中間点を1時間2分41秒で通過した後、25kmから30kmにかけては14分35秒というペースアップを見せました。さらに特筆すべきは、ラスト2.195kmを6分19秒でまとめる驚異的な粘りです。疲労の色が見えながらも、フォームを崩さなかった美しい走りが、最後の1秒を絞り出す結果につながりました。
大迫選手のマラソンキャリアは、2017年のボストンでのデビューに始まり、2018年のシカゴでは日本人初の2時間6分切りとなる2時間5分50秒で日本記録(当時)を樹立し3位に入っています。今回の達成は、その経験に裏打ちされた緻密な戦略の勝利と言えます。
3. 引退撤回、メーカー変更——独自路線を貫くドラマ
大迫選手のキャリアには、数々のドラマがあります。
2020年3月の東京マラソンで自身の日本記録(当時)を更新(2時間5分29秒)し、東京五輪代表の座を獲得。五輪本番では6位入賞を果たしましたが、この時「ラストラン」と表明していました。
しかし、2022年7月に引退を撤回して現役復帰。さらに、長らく契約していたナイキから、中国のスポーツメーカーである「リーニン」へと所属契約を変更するという、独自の道を歩み始めました。新体制での初レースとなった2023年10月のレガシーハーフマラソンでは、1時間1分45秒で日本人トップとなり、今回のバレンシアに臨む際も「自己記録を狙いたい」と語り、まさに有言実行を果たした形となりました。
4. 「とんでもなくデカイ1秒」に込められたメッセージ
レース後、大迫選手はマネージャーとのツーショットを添えてSNSを更新しました。
そのメッセージには、偉業の裏側にあった葛藤と努力が込められています。
「たくさんの疑念、不安、迷い。そして気づき、たくさんのものを削って」 「たった1秒だけど、僕らにはとんでもなくデカイ1秒だった」
この1秒は、引退と復帰、環境の変化、そして年齢による壁など、「たくさんのものを削って」挑戦し続けた34歳の大迫選手とチームにとって、何物にも代えがたい重みを持つものだったことが伺えます。
今回の日本新記録樹立により、大迫選手はロサンゼルス五輪選考会のMGC(2027年開催)の出場権を獲得しました。挑戦し続ける彼の今後の活躍に、ますます期待が高まります。
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富士山マラソン2026への道 TATTA RUN シリーズ冬




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