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【ケニア人留学生ランナーの謎】「いざ来日したら全く別の人間だったりすることも」一筋縄ではいかない“原石”探し、幻の名門校「ガル高」を探して《大宅賞ライターが明かす取材秘話》

正月の風物詩として、日本中が熱狂する「箱根駅伝」。

そのなかでも圧倒的な存在感を放つのが、異次元のスピードで「20人抜き」などの快挙を成し遂げるケニア人留学生ランナーたちです 。テレビ画面の向こうでタスキを繋ぎ、驚異的な区間記録を叩き出す彼らを見て、「一体どうやって日本にやってきたのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

実は、その裏側にはスポーツの美談だけでは片付けられない、ミステリー小説さながらの謎や、過酷なビジネスの構造が隠されていました。

今回は、第57回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した泉秀一氏の著書『アフリカから来たランナーたち 箱根駅伝のケニア人留学生』(文春新書)の取材秘話から、普段のテレビ中継では絶対に明かされない「留学生スカウトのリアルすぎる現実」に迫ります

1. 駅伝ファンがザワついた「幻の名門・ガル高」の謎

2000年代半ばから約10年間、駅伝ファンがある異変に気づいていました。駅伝中継の画面に映るケニア人留学生の出身校テロップに、こぞって「ガル高」という文字が表示されていたのです

しかし、その後は忽然と中継から姿を消し、日本の陸上関係者に聞いても実態がさっぱりわからない「幻の学校」となりました

この謎を解き明かすため、著者の泉氏はなんと通算3回もケニア現地へ渡ります 。高熱などの体調不良に苦しめられながらも彼が突き止めたのは、日本とケニアを結ぶ「あるルート」の存在でした

「速いランナーが欲しい日本の学校」と、「学歴がなくチャンスが欲しい現地のランナー」をつなぐシステムとしてガル高があると推測して現地に向かったんです。ところが……」

現地で泉氏を待ち受けていたのは、予想を覆す思いがけない光景でした 。この「ガル高の真相」を巡る謎解きこそが、本クロニクルの大きなハイライトとなっています

2. 「空港に行ったら全くの別人」一筋縄ではいかないスカウトの裏側

現地のエージェントたちが直面するケニア人ランナーのスカウト業務は、私たちが想像する以上にカオスで一筋縄ではいきません

現地のクロスカントリー大会などで「これは優秀な原石だ!」と目をつけ、諸手続きを終えて日本へ呼び寄せたはずが、いざ日本の空港に到着してゲートから出てきたのは「全くの別人」だったという、嘘のような衝撃のトラブルが実際に起こるというのです

さらに泉氏自身も、現地で危うくエージェントになりかける瞬間を経験しています 。 知り合いから「優秀なケニア人ランナーを紹介してほしい」と頼まれ、有望なランナーを見つけ出したものの、出場予定だった大会の直前にドタキャンされてしまったのです

身をもって知った「人と人を繋ぐエージェント業の圧倒的な面倒くささ」 。だからこそ、かつてこのルートを命がけで切り拓いた先駆者たちの苦悩が浮き彫りになります

3. ルートを切り拓いた先駆者と「商品化されるランナー」の光と影

そもそも、この日本とケニアの陸上ルートはどのように作られたのでしょうか?

その背景には、1980年代に山梨学院大学の上田誠仁監督らが箱根に留学生旋風を巻き起こした歴史や、1990年代の高校駅伝でのブームがあります 。そして、その裏でスカウトの仕組みを確立させたのが、2021年に亡くなった伝説の日本人エージェント・小林俊一氏でした

元経済誌記者(『週刊ダイヤモンド』や『NewsPicks』編集長)という異色の経歴を持つ泉氏は、この問題を単なる「感動のスポーツドラマ」としては描きません

そこにあるのは、「速ければ稼げる『商品』」としてランナーたちが消費されていく、世界的なビジネスの構造です 。元経済記者ならではの鋭い視点によって、美談の裏にあるドライな現実とシステムの歪みがリアルに解き明かされています

4. 「記号」ではない、彼ら一人の人間としてのドラマ

私たちがテレビで彼らを見るとき、どうしても「ケニア人留学生」という一つの強烈なキャラクター(記号)として一括りにしてしまいがちです

しかし、2025年の箱根駅伝・花の2区で驚異的な区間新記録を叩き出した東京国際大学のリチャード・エティーリ選手とともにケニアの実家を訪れた泉氏は、その認識を大きく改めることになります

「取材を進めると、一人ひとりに生活があり、家族や夢、苦悩があることが実感できた。記号的に捉えてはいけないという思いが芽生えていきました」

貧困から抜け出すため、家族を養うため、命がけで日本の地を踏み、プレッシャーの中でタスクを繋ぐ彼ら 。その背景にある泥臭い人間ドラマを知ると、彼らの激走を見る目が180度変わるはずです。

まとめ:次の駅伝が10倍面白くなる一冊

身代わり来日、ドタキャン、そして中継から消えた「ガル高」の正体……

過酷な現地取材と圧倒的な熱量でそれらの謎に迫り、見事大宅賞を受賞したノンフィクション『アフリカから来たランナーたち 箱根駅伝のケニア人留学生』(文春新書)

次の駅伝シーズン、あるいは予選会や合宿のニュースを見るとき、彼らの走りの背景にある「リアルな現実」を思い浮かべてみてください。テレビの画面が、今までとは全く違った深さで見えてくるはずです。気になった方は、ぜひ泉氏の著書を手にとってみてくださいね

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『空港に現れたのは全くの別人だった』大宅賞作家が明かす、箱根駅伝ケニア人ランナー“青田買い”のリアルすぎる現実

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